山の知識検定

チャレンジ問題

ブロンズコース シルバーコース ゴールドコース 富士山トリビア
問題 提示した天気図の説明のうち正しいものはどれですか?

問題1

1. 日本海で低気圧が急速に発達し、全国的に南風が強まる春一番の天気図で、中部山岳などの標高の高い山岳を中心に稜線では暴風が吹き荒れ、南西側に海がある山岳では風雨が強まる。
2. 日本海で低気圧が発達し、日本海側の山岳で風雪が強まる大荒れの天気に。低体温症や暴風による行動不能、強風による転滑落などに厳重な警戒が必要である。
3. 日本海の低気圧から延びる寒冷前線が南下し、前線の南側で積乱雲が発達する。日本海側の山岳から雷を伴った非常に激しい雨となり、次第に強い雨の範囲は南下していく。落雷や土砂崩落、沢の増水に厳重な警戒が必要な気圧配置である。
4. 日本海を低気圧が発達しながら通過し、その後に強い寒気が入る。秋の連休などにこの気圧配置になると北アルプスの稜線では猛吹雪となり、低体温症の事故が頻発している。
問題<3>

フィリピンの東に台風があり、図の右下に太平洋高気圧が見えている。また、大陸は大きく見て低圧部となっており、2つの高気圧も1010hPaと勢力が弱い。このため、季節は夏か夏に近い季節である。夏において警戒すべき気圧配置のひとつに、日本海から前線が南下するものがある。この天気図でも日本海の低気圧から寒冷前線が南西に延びており、この前線の影響を日本海側の山岳を中心に受けることが予想される。前線の南側では積乱雲が発達し、山岳では落雷や短時間の強雨に警戒が必要になる。

問題 山岳名著と登山家の組合せで誤っているものはどれですか?
1. 「北の山」(伊藤秀五郎)
2. 「たった一人の山」(浦松佐美太郎)
3. 「単独行」(加藤文太郎)
4. 「山の憶ひ出」(小島烏水)
問題<4>

「山の憶い出」の著者、木暮理太郎は探検時代の日本アルプスや秩父山地に入り、これらの山々の魅力を世に紹介した。山岳展望や登山史の研究、地名の考証にも熱意を示し、人文的な「山岳研究」というべき分野の開拓者であった。同書は、日本の山岳書中でも内容の濃い傑作とされ、明治末期から大正にかけて、東京から見える山を初めて詳しく明らかにしたことでも知られる。

問題 北アルプスの双耳峰である鹿島槍ケ岳についての誤った記述はどれですか?
1. 北壁の下にあるカクネ里には平家の落ち武者伝説があるが、平家の落武者の隠れ里が転訛したものである。
2. 剱岳・立山と並び、日本では数少ない氷河の現存する山である。
3. 大正初期に陸地測量部が、この鹿島集落にある尖った山頂の山を「鹿島槍ヶ岳」と呼ぶようになった。
4. 双耳峰であることに由来する「耳二つ」と呼ばれていた。
問題<4>

「耳二つ」は谷川岳の旧称であり、誤り。また、2018年1月、北アルプス・鹿島槍ヶ岳(標高2,889メートル)の「カクネ里雪渓」が氷河であることが確認された。

問題 黒部峡谷の全貌を明らかにした登山家は誰ですか?
1. 田部重治
2. 木暮理太郎
3. 小島烏水
4. 冠松次郎
問題<4>

時の多くの登山家の高い峰を目指すことに背を向けるように、黒部峡谷を始め南アルプスや奥秩父の渓谷の多くを遡行し、また「黒部渓谷」の他優れた記録や紀行文を残している。下ノ廊下の十字峡の命名者とされ、「黒部の父」と呼ばれる。

問題 川を徒渉する際の正しい方法はどれですか?
1. 徒渉中に転倒して流されそうになった時は、片方の確保者はロープを離し、振り子のようにして岸に導く。
2. 徒渉距離を最短にするため、流れと直角にロープを渡す。
3. 2番目以降の徒渉者は、ロープの下流側を渡る。
4. 両側の確保者は、ロープをハーネスに固定する。
問題<1>

徒渉の基本は、流れに逆らわず下流斜め45度に進む。2番目以降の徒渉者は、ロープの上流側を渡り、もし転んだら両脇の下にロープを抱えるようにつかまる。また、確保者はロープを固定せず、すぐに離せるよう手に持って確保する。

問題 雪崩の危険を回避するための行動で適切な記述はどれですか?
1. ルンゼや岩壁などの斜度が60度以上の急斜面は必ず雪崩が発生するので、このようなエリアに立ち入ってはならない。
2. 傾斜が30度くらいの緩斜面では雪崩の危険はないので安心して行動することができる。
3. 雪崩の危険があるときには弱層テストをしっかり行い、その結果、安全と判断されたときには安心して行動してもよい。
4. 傾斜が30°から40°位の緩斜面で発生する雪崩は自然に発生するものは少なく、多くは登山者の行動により誘発されるので注意が必要である。
問題<4>

雪崩の危険を予想することは大変難しい。その理由は雪面のいたるところで条件が異なるためで、ある地点で雪崩の危険が低くてもそこから10m離れた地点も危険が低いとは限らない。緩斜面でも登山者が立ち入ることで雪面を刺激し、雪崩を誘発することが多い。また、樹林帯であっても、斜度が十分あり、結合力の弱い雪が多量にあれば、雪崩は発生しうる。特に、地形がやや沢状となっている場所は注意を要する必要がある。

問題 富士山に初めて登った女性は誰ですか?
1. 野中千代子
2. 高山たつ
3. 駐日英国公使パークス婦人
4. 野口幽香子
問題<2>

江戸時代後半には江戸を中心に、富士講と呼ばれる富士山を登拝する組織があり、富士登山が盛んであった。高山たつは不二道の信者で、登山者の少ない10月下旬、男女平等を説く富士講信者男性5人に混じり、男装して吉田口から登頂したとされる。また、イギリス公使パークス婦人も解禁される前の1867年、夫とともに登頂を果たした記録が残っている。

問題 仰烏帽子山から下る説明文からそのルートを選びなさい。「山頂からしばらく稜線を下った。途中コル(鞍部)を通過した。稜線が広く平らになったコル状の場所にある分岐を左手に進み、谷の中を下り登山口に戻ってきた。」

問題8

1. ルート①
2. ルート②
3. ルート③
4. ルート④
問題<3>

答えと解説「山頂からしばらく稜線を下った」地図上ではどのルートも稜線をしばらく進むのでこの情報ではどのルートも該当する。「稜線上では途中コル(鞍部)を通過した」地図上では②のルートのみ鞍部を通過していないが等高線に表れない小さなコルがあることを考えるとどのルートも該当する。「稜線が広く平らになったコル状の場所にある分岐」稜線を離れる分岐の地形がこの記述に該当するのは①と③。ただし②の分岐が地図に現れないコル上である可能性は否定できず完全には除外できない。「分岐を左手に進み」進行方向を前に見たとき、②、④では右手に進むことになるのでここで完全に②と④が除外できる。「谷の中を下り登山口に戻ってきた」①は尾根線を下るので除外でき、③は記述通り谷を下るので正解と判断できる。なおこの文章では方位に関する記述をあえて記述しなかったが、実際の山行ではコンパスなどを使って進んでいる方向を確認しながら下山することを心掛けてもらいたい。

問題 地図中の4か所のうち、標高が高い順に並べたものはどれですか?

問題9

1. ③>④>②>①
2. ③>④>①>②
3. ④>③>①>②
4. ④>③>②>①
問題<4>

複雑な等高線を示すが北東から南西にかけて伸びる台地状(実際は大きな鞍部の一部)となっていることを読み取れれば判断は難しくない。③は標高点がそばにあるところから容易に標高が分かり、970~980mの間であることが分かる。④は③の隣にあるピークかつ③より1本分高い等高線の輪の中にあるので980~990mの間にあたる。②は950mの標高が書かれた等高線などを手掛かりに960mの等高線の円の中にあるので960~970m、①は補助曲線で書かれた尾根の上にあたるので955~960mの間であることから④>③>②>①の順に高いことが分かる。

問題 利尻山の動植物についての誤った記述はどれですか?
1. 近年、シカの増殖で高山植物の食害が問題となっている。
2. 利尻島にはクマやヘビはいない。
3. 利尻山にはコマクサは自生していない。
4. 利尻山の山頂付近にはこの島の固有種であるリシリヒナゲシが咲いている。
問題<1>

近世からの島の資料にはクマやヘビの記述はなく、以前から生息していなかったことがわかる。キツネについては居たことが伝えられているが、現在でもシカは生息していない。利尻富士町の高山植物園にはコマクサが栽培されているが、礼文島と同様に自生していないため、食害は発生していない。

問題 ヤマビルの対処法や生態の誤った記述はどれですか?
1. ヤマビル忌避剤は皮膚に塗るのではなく、靴や靴下、ズボンの裾などにつける。
2. 水分の多い沢筋などに生息しているので、尾根筋などではあまり注意する必要がない。
3. 春から秋まで多く見られ、特に雨か雨上がりの日に特に活発に活動する。
4. ヤマビルは靴で踏みつけただけでは不十分で、殺ヒル剤、塩などで確実に駆除する。
問題<2>

吸血被害の多い場所として、沢筋が6割程度との報告があるが、残りは窪地の湿った所や林道、獣道、山腹などあらゆる場所があげられており、尾根筋においても油断していると被害に遭ってしまう。動物や人が近づくと、わずかな振動や体温、呼気等を感じとって接近してくるので、休憩時などは必ず、足元に注意を払う必要がある。

問題 「かいらぎだけ」を漢字で正しく表記したものはどれですか?
1. 梅花皮岳
2. 梅皮花岳
3. 花梅皮岳
4. 花皮梅岳
問題<1>

飯豊山地には難読山名が多い。梅花皮岳はまず読みが難しいし、書くとなると漢字自体は容易でも順番に苦慮する人は多いに違いない。

問題 中央分水界が通過している「日本百名山」の数はどれですか?
1. 12座
2. 24座
3. 36座
4. 48座
問題<2>

次の24座が中央分水嶺に位置する。トムラウシ、十勝岳、斜里岳、羅臼岳、八幡平、蔵王山、安達太良山、那須岳、至仏山、平ヶ岳、巻機山、谷川岳、四阿山、浅間山、甲武信ヶ岳、金峰山、八ヶ岳、蓼科山、霧ヶ峰(車山)、乗鞍岳、伊吹山、石鎚山、九重山、霧島山。

問題 「日本百名山」同士の距離が最も短い組合せはどれですか?
1. 北岳と間ノ岳
2. 妙高山と火打山
3. 金峰山と瑞牆山
4. 水晶岳と鷲羽岳
問題<4>

最も近いのが水晶岳と鷲羽岳間の約2.7km、次に近いのが北岳と間ノ岳間の約3.3㎞、金峰山と瑞牆山間は約3.9㎞、妙高山と火打山間は最も遠く約5.2㎞離れている。

問題 『日本百名山』の名称が初版以降訂正された山はどれですか?
1. 後方羊蹄山
2. 大菩薩岳
3. 悪沢岳
4. 霧島山
問題<2>

現在の『日本百名山』では大菩薩岳の名称が使用されているが、白山書房『日本百名山と深田久弥』によると、当初は「大菩薩嶺」としていたものを友人の望月達夫氏から武田久吉博士の「嶺は峠を意味する漢字」との説を受け、その後「大菩薩岳」に訂正した。なお、5万分1地形図「丹波」図幅は、初版から「大菩薩嶺」の表記がされており、山頂の三等三角点の基準点名は大菩薩となっている。

問題 登山での水分補給に関する記述で、適切でないものはどれですか?
1. 登山中に水分を摂らないと、疲れたり脚がつったりするだけでなく、熱中症、高山病、心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなる。
2. 寒いときは汗をかかないので、登山行動中の水分補給は必要ない。
3. 標準的な脱水量(水分喪失量)の計算式は、脱水量(ml)=5×行動時間(時間)×体重(kg)である。
4. 脱水対策としては、水だけでなく電解質(塩分など)も補給する必要がある。
問題<2>

水の補給の目安は選択肢3の計算式でわかるので覚えておきたい。喉が渇く前にこまめに補給することが大事。また、汗をかかなくても呼吸などでも体から水分が失われるので、登山中の水分補給は忘れずに行うべきである。

問題 前線について述べた文章で誤っているものはどれですか?
1. 温暖前線は、暖気が寒気の上を緩やかに滑昇することで、広い範囲で雲が発生する。前線に近いところほど雨が降りやすい。
2. 寒冷前線は、寒気が暖気の下に潜り込んで、暖気が急激に持ち上げられることで、強い上昇流が発生する。
3. 停滞前線は、寒気と暖気、あるいは乾燥した空気と湿った空気が拮抗している時に生じる。
4. 最も積乱雲の発達する可能性が高いのは温暖前線である。
問題<4>

温暖前線によって発生する雲は、乱層雲、高層雲、巻層雲などである。これらは層状の雲と呼ばれ、 広い範囲で空気が上昇している時に見られる。一方、寒冷前線は温暖前線に比べて雲の広がる範囲は狭いが、強い上昇流により積乱雲(塊状の雲)が発達しやすく、通過前から通過時は天候の急変、 落雷や短時間強雨、突風に注意が必要である。また、停滞前線の南側に暖かく湿った空気が入ると、 積乱雲が発達し大雨となることがある。

問題 気圧の谷接近時の高度計の数値変化の記述で正しいものはどれですか?
1. 高度は不安定となる
2. 高度が上がる
3. 高度が下がる
4. 高度は変わらない
問題<2>

高度計測は、デジタル式でもアナログ式でも気圧の変化量をもとに高度を計測する相対高度計であるため、高い山に登って気圧が下がれば高度目盛が上がる。このため、同じ場所に止まっている場合でも、気圧が下がれば高度計の高度は上がることになる。

問題 雪崩遭難の記述のうち正しいものはどれですか?
1. もっとも多い死亡原因は低体温症である。
2. 埋没者を掘り出したら一刻も早く歩かせる。
3. 埋没した場合、時間経過に伴って直線的に生存率は低下する。
4. 心肺蘇生法として人工呼吸は有効性が高い。
問題<4>

雪崩遭難で最も多い死亡原因は窒息である。救出後に乱暴に体を動かしたり、自力で歩かせたりすると、急激に末梢の冷たい血液が心臓へ循環して不整脈(心室細動)を起こして死亡してしまう場合がある。埋没した場合の生存率は20分程度まで急激に低下し、以後、鈍化する。当初の急激な低下は窒息によるもので、それ以後の死亡は低体温症によると考えられる。このため、人工呼吸は、窒息者では換気させられる効果が、低体温症者には深部体温を上昇させる効果が期待でき、有効性が高い。

問題 体を動かす栄養素とその働きの正しい記述はどれですか?
1. ミネラルは脳の働きを活性化させる。
2. 脂質は骨や筋肉を作る。
3. 糖質は体を動かすエネルギーに使われる。
4. たんぱく質は体調を整える役割を持つ。
問題<3>

人間が正常に体の働きを保つために摂取する栄養素を分類したものが五大栄養素。これらの働きや役割を知ることで、登山中に特に注意して摂取しなければならない食品を知ることができる。登山中に役立つ栄養素は糖質で、主に体を動かすエネルギー源になる。さらに脳を動かすことができるのも糖質であることを覚えておきたい。脂質も同様にエネルギー源となり、体を効率よく動かす役割がある。たんぱく質は筋肉や内臓などを作る働きがある。ミネラルは体の調子を整える栄養素だ。